
GoogleやP&Gなどの大手企業も本格的に取り入れているマインドフルネス。
このマインドフルネスが心身に良い影響をもたらすということが様々な研究で確認されており、世界でも注目されています。
気になってマインドフルネスについて調べてみたけれど、「気づき」とか「瞑想」とか、表現がすこし抽象的すぎてマインドフルネスについてよくわからないという方も多いと思います。
マインドフルネスを直訳すると「意識を向けること」という意味です。
「今」の自分を俯瞰して観ることで、自分が「今」なにをしているのかということに気づくことがマインドフルネスの目的になります。
この記事では「マインドフルネスとは何か?」ということ、そしてマインドフルネスを実践することで自分にどのような変化があらわれるのかをわかりやすく説明していきたいと思います。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、今この瞬間の「あるがままの自分」に意識を集中することです。
少し難しい話になりますが、わたしたちが日常の中で無意識に行っていること(例えば何かを食べたり、道を歩いたりするとき)に対して、自分が何をしているのかということに気づくことがマインドフルネスの目的になります。
わたしたちの脳は、普段は「自動操縦モード」になっています。食べ物を食べたり、道を歩いたりしているとき、自分が今何をしているのか?ということには意識はいきません。
この状態をマインドフルネスの反対の意味で、マインドレスネスといいます。
そして、歩いている自分を意識して「自分は今歩いている」、食べ物を食べている自分を意識して「自分は今、食べ物を食べている」と自分が今何をしているのかということに「意識を集中すること」をマインドフルネスといいます。
つまりマインドフルネスとは、何かしらの行動を表すものではなく、自分を客観的に意識することをマインドフルネスと呼ぶのです。
そして大切なことは、客観的に見た自分の行為や感情に「良し悪しの判断」を下さないこと。あくまで自分を客観的に観ることまでが目的です。
難しいですよね?
わたしもマインドフルネスというものを全く知らないところから学びはじめたとき、まるで意味が分かりませんでした。
マインドフルネスと瞑想
Googleなどで「マインドフルネス」と検索すると、「マインドフルネス瞑想」というキーワードがでてくると思います。はじめてこれを目にする人は「なるほど、マインドフルネスとはマインドフルネス瞑想のことなんだな」と勘違いしてしまうことが多いです。
わたしもはじめはマインドフルネスとはマインドフルネス瞑想のことだと思っていました。
しかし実際にはマインドフルネスと瞑想は別のものです。
マインドフルネスとは前述したとおり、「あるがままの今の自分に気づく」ということです。そして瞑想とは、マインドレスネスの状態からマインドフルネスになるための脳のトレーニングのことです。
マインドフルネスのためのトレーニングに「瞑想」があります。これを「マインドフルネス瞑想」と呼ぶのです。
「マインドフルネス」は概念。「瞑想」はトレーニング。このように、この二つはまったくの別物なんですね。
マインドフルネスの効果
ストレスの原因は主に「反芻思考」にあると言われています。
反芻思考とは、考えても仕方がないような過去の失敗や、まだ起こってもいない未来への不安にたいして脳内でグルグルと考え続けてしまうことです。
様々な研究の結果、この反芻思考がうつ病などの原因になってしまうことがわかっています。
マインドフルネスを実践することによって、このようなネガティブな感情から一歩下がって自分を俯瞰してみられるようになります。
このマインドフルネス思考によって得られるメリットをいくつかご紹介します。
感情のコントロールができるようになる
マインドフルネス思考を身につけることによって自分を客観視できるようになり、ストレスの原因となる「反芻思考」から離れることができます。
ここで念を押してお伝えしたいのは、マインドフルネス思考とは「ポジティブ思考」になることでも「ネガティブ思考」になることでもありません。
あくまでも「自分は今、ネガティブに考えてしまっている」と気づくことがマインドフルネスの目的です。イメージとしては「今」の自分を別のモニターで見るような感覚です。

自分を客観的に観て、自分の感情や行動に「気づく」ことができれば、それまで抱えていた「ネガティブな感情」は自然と和らいでいきます。
他者目線で自分にアドバイスができる
自分を俯瞰してみることで、自分に対して「他者目線」でアドバイスができるようになります。人は自分自身が抱える問題に対してよりも、他人が抱えている問題に対しての方が優れた判断ができるといわれています。
皆さんは「ソロモンのパラドックス」ってご存じですか?
旧約聖書にでてくる「ソロモン王」はとても深い知恵を持ち、他者に関する判断に非常に優れていた方です。ですがそんなソロモン王も自分のことになると良い判断をすることができなかったという話です。
この「他者と自分」に関して、ウォータールー大学心理学准教授 イゴール・グロスマン氏による実験が行われました。
ある一つの問題に対して「自分に起きた場合を想定したグループ」と「友人に起きた場合を想定するグループ」に分かれ、それぞれのグループが解決案をだします。すると、「友人に起こった場合を想定したグループ」のほうが良い判断ができるという結果がでたのです。
マインドフルネスを鍛えることによってもたらされる変化
マインドフルネスがわたしたちの生活に良い影響を与えてくれるということがわかりました。
ではそのトレーニングである「瞑想」や「ヨーガ」を行うことでわたしたちに一体どのような変化が起こるのでしょうか?
マサチューセッツ大学医学部名誉教授であるジョン・カバット・ジンが発明したMBSR(マインドフルネスストレス低減法)というものがあります。MBSRとは、マインドフルネスの瞑想やヨーガを8週間かけて行うプログラムのことです。
このMBSRにおける調査にて、ある研究では脳の変化が確認されています。
MBSRを行うことによって学習と記憶、感情のコントロール、自己意識にかかわる脳の領域が厚くなったという結果が出ています。その一方で、恐怖や不安にかかわる偏桃体と呼ばれる領域が薄くなっていることが確認されています。
つまりマインドフルネスを実践することによって集中力や記憶力が上がったり、感情のコントロールができるようになるということが科学的に証明されているのです。
瞑想についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
スタンフォード大学では、通常の授業としてマインドフルネスを教えているそうです。
まとめ
マインドフルネスとは、「今、ここに在る自分に意識を向けること」でストレスを軽減させたり、集中力を向上させるなどの多くのメリットをもたらす実践法です。
ふだんは無意識の中で過ごすなかで、今の自分の行動や感情に意識を集中して「マインドフルネス状態」になることによって、より良い自己判断ができるようになります。
さらに、マインドフルネスのトレーニングとしておこなう「マインドフルネス瞑想」や「ヨーガ」には脳に良い変化をもたらす効果があるということが様々な研究で証明されています。
1日5分の小さな時間からでも、毎日つづけることで大きな効果が期待できます。あなたもぜひ、今日からマインドフルネスを実践してみてください!
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